黒蝶真珠の品質

 

・黒蝶真珠の色の価値について

 黒蝶真珠の色は、黒蝶真珠の色の種類でもお伝えしたように、ブラック系を中心に、グリーン、ブルー、グレー、ブラウン、レッド、ピスタチオ、ラグーンなど様々な色があります。その中でも高く評価されている色が「ピーコックグリーン」(単にピーコックと呼ぶこともある)です。

 

 

黒蝶真珠のピーコックグリーンカラー

-ピーコックグリーン- (英語:Peacock green)

 さまざまな色の中でも、美しく価値のある色の黒蝶真珠をピーコックグリーンと呼びます。日本はもちろん、世界でも同じ名称で呼ばれています。ピーコックグリーンの特徴は、孔雀の羽のようにボディカラーが深い緑色で、干渉色が赤色を持つ大変美しい真珠です。

 

-名称一覧-

ピーコックグリーン

美しく価値のある色の黒蝶真珠の呼び名。

ピスタチオ

食べ物のピスタチオに似た淡いグリーンの黒蝶真珠の呼び名。

チョコレート

赤茶系の黒蝶真珠の呼び名。

ラグーン

真珠科学研究所が認める、最高品質の黒蝶真珠にのみ与えられる称号です。

オーシャンブルー

日本の鑑定機関が定めたブルー系の黒蝶真珠の呼び名。

 

一般的な黒蝶真珠とラグーン鑑別ネックレス比べ
黒蝶真珠のオーシャンブルーカラー

 

・黒蝶真珠の品質の見分け方

 真珠の品質を見分ける要素は5つに分かれています。その5つを総合的に判断して品質を評価します。中でもボディカラー(実体色)と干渉色(テリ)が最も重要といわれています。

  • ボディカラー(実体色)
  • 干渉色(テリ)
  • 巻き
  • キズ
  • 形(シェイプ)

 

真珠の色は、ボディーカラー(実体色)と干渉色(テリ)で構成されますが、この用語は真珠の色を理解する上で大切な用語です。

 

-ボディカラー-

黒蝶真珠の多様な色

 黒蝶真珠の色は、貝殻内部の色素が影響して多様な色が生まれます。黒蝶貝には赤、緑、黄色系の3種の色素があり、その配合によってブラック系、グリーンブラック系、レッドブラック系などに分かれます。この真珠の地色をボディカラーと呼びます。

ピーコックグリーンの場合は、このボディカラーが深い緑色で大変美しい色合いです。

実際に真珠のボディカラーを見る場合は、白色の布などを背景にすると分かりやすくお勧めです。逆に黒や色がついた背景では、本来のボディカラーが見にくいので注意が必要です。

 

-干渉色(テリ)-

 真珠層(表面)への光の反射などによる、中心部の光を干渉色と呼びます。真珠の中心に目玉のように輪郭が見られる光沢で、ジュエリー業界ではテリと呼ばれています。テリは、真珠層の厚さや均一性、光の透過性など、真珠層の性質によって決まります。また、深みのあるテリには真珠層の厚みが必要です。

ピーコックグリーンの場合は、この干渉色(テリ)が赤系の色で、光の反射や屈折、干渉により独特の色が見られる大変美しい輝きです。

 

-巻き-

 真珠は、核と呼ばれる珠のまわりに真珠層が形成されて出来上がります。巻きとは、核の上に巻いている真珠層のことをいいます。真珠層は1000枚以上の薄い炭酸カルシウムの結晶が何層にも積み重なっており、真珠の耐久性や色、テリと関係しています。独特の色やテリを生み出す重要な要素で、一般的には巻き(真珠層)が厚いものが薄いものよりグレードが高い真珠とされています。厚い巻きの真珠は、深みのある輝きを放つとても綺麗な真珠です。

 

-キズ-

 キズは、養殖中に自然にできたへこみや突起、溝をいいます。一般的にはキズの無い真珠が最も評価されています。キズは研磨などで取り除くことが難しく、そのままの状態で流通されることが多いです。また、キズには独特の真珠用語がありますので、覚えておくと購入の際などに便利です。

・えくぼ   : 真珠表面のへこみのことをえくぼと呼びます。

黒蝶真珠のえくぼ

・サークル珠 : 真珠表面の周りを溝が1本または複数本、とり巻いている真珠をサークル珠と呼びます。

黒蝶真珠のサークル珠

 

-形(シェイプ)-

黒蝶真珠のバロック形
黒蝶真珠のボタン形
様々な形の黒蝶真珠ネックレス

 黒蝶真珠は、さまざまな形(シェイプ)がありますが、一般的には真円の真珠が最も高いランクとして評価されています。近年は、ドロップやバロックなど、自然にできた変形真珠の評価も高まっています。形の見分け方は、ルース※1の場合は真珠を指先で転がしてさまざまな方向から見ると形が良く分かります。ネックレスなど連※2の場合は、長く伸ばした状態で、柔らかい布などの上で転がして見ると形が良く分かります。

 形(シェイプ)の種類は、黒蝶真珠の形の種類でも挙げた通り、ラウンド、セミラウンド、ドロップ(しずく型)、トップ、ボタン、セミバロック、バロック、ケシなど、ユニークな形のものもあるので、自分自身のお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。

※1 ルースとは、裸石の状態の真珠のことで、ジュエリーにセッティングされる前の真珠だけの状態をルースと呼びます。

※2 連とは、ネックレスなどにする前の、複数のルースを仮糸で糸通しした状態のことで、ジュエリー業界ではこの状態で取引することが多いです。

 

・黒蝶真珠の選び方

 黒蝶真珠は、さまざまな色や形、そして大きさがあるため、選び方も一様には言い切れませんが、ここでは3つの選び方をご紹介いたします。

  • 品質重視タイプ
  • 色重視タイプ
  • 大きさ重視タイプ

 

・品質重視タイプ

黒蝶真珠のネックレスの着用写真

 黒蝶真珠を、生涯を通じて大切に使用したい方や、大切な記念日などにご購入を検討されている方にお勧めの選び方です。ピーコックグリーンの最も良いと称されるグレードの色を選ぶことはもちろん、巻きが厚く、テリの良い、真円の真珠を選ぶと良いです。加えてキズが無いものを選べれば、大変価値が高く一生モノとしてご使用いただけます。

 

色重視タイプ

色彩豊かな黒蝶真珠

 黒蝶真珠の特徴でもある、豊富な色にポイントをあて、ユニークな色やご自身の肌に合う色など、ご自身のお好みの色を探したい方にお勧めの選び方です。最近では、さまざまな色をミックスさせたロングネックレスなど、マルチカラーのジュエリーも人気のアイテムです。

また、ピスタチオやチョコレートなど、ユニークな色も特徴的で人気です。

 

・大きさ重視タイプ

黒蝶真珠の大きさ比べ

 14mmを超えるサイズなど、アコヤ真珠などには無い大きさも黒蝶真珠の魅力のため、大胆に華麗にジュエリーを着けたい方にお勧めの選び方です。真珠は自然が生みだすものと割り切り、多少のキズや変形もこだわらずに探すと、とても良い真珠に出会えます。変形した真珠は、そのユニークな形を活かしたデザインにするなど、オリジナリティを求める方にもお勧めの選び方です。

 

 

 

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参考文献

□宝石・貴金属大事典 近山晶著 柏書店松原株式会社 1982

□ジュエリー シルヴィア・グラッシ・ダミアーニ著 MANDADORI 1998

□真珠の知識と販売技術 小松博・増渕邦治・上村逍著 繊研新聞者 2002

□パール ワールドラボ 2015

PEARL BUYING GUIDE  Renee Newman著 International Jewelry Publication 2017